鈴木啓太が考える司法書士の在り方
出会えたことで、上を向くきっかけになれたら幸せです。
あなたが長い人生の間で、私と出会うことは、極々小さいことであろうと思います。
当然ながら、人生の主人公はあなたです。私があなたに出会えることは、その中では小さな出来事でしかないかもしれません。
ですが、お会いすることができたなら、あなたの人生にとって、少し上を向くよいきっかけになって欲しいと願っています。
人生には、流れというものがあると感じしています。
もしかしたら、今まではうまくいかないそんな流れの中で過ごされてきたかもしれません。
出会えたことで、私がそれを「魔法のようにバラ色の人生に変えます」だなんて言えませんし、そんなことはとてもおこがましいことです。
それでも、出会えたことが、あなたの人生にとって、少しでもプラスに働いてもらえたならと思っています。
司法書士である鈴木は一体どんな仕事をするのか
まず、司法書士って?弁護士?行政書士?という疑問があると思います。
- 司法書士→140万円までの簡裁事件の代理・交渉代理
- 140万超、地裁・家裁〜最高裁管轄の書面作成
- 地裁管轄の例→140万を越える金銭請求事件
- 解雇無効、破産・再生、労働審判など
- 家裁管轄の例→成年後見申立、離婚など
- 弁護士 →ほぼ全域に代理権がある。
- 行政書士→紛争性のある事件に関しては代理できない。
裁判所に提出する書面は作れない。
その中で、司法書士とは何を責務としているでしょうか?
私は以下のような責務があると考えています。
- 法的選択肢の一部のみの提供はゆるされない。
- 手数を惜しまず、予想しうるあらゆる可能性を検討した上で、依頼者にとって、最良と思われる仕事を提供する。-経営的な判断を重視せず、国民に役立つ存在でいなければならない。
- 一定の範囲内で社会正義の実現と人権の保護を目的としなければならない。
それは何故か。
まず、司法書士法の条文を見てみましょう。
(目的)第1条 この法律は、司法書士の制度を定め、その業務の適正を図ることにより、登記、供託及び訴訟等に関する手続の適正かつ円滑な実施に資し、もつて国民の権利の保護に寄与することを目的とする。(職責)第2条 司法書士は、常に品位を保持し、業務に関する法令及び実務に精通して、公正かつ誠実にその業務を行わなければならない。
登記、供託、訴訟などの手続を円滑にできるように、またそのことで、みなさんの権利の保護にプラスになるようにということが我々司法書士の存在理由のようです。
しかし法律職といえば、弁護士ですよね。
弁護士法を見てみましょう。
(弁護士の使命)第一条 弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。2 弁護士は、前項の使命に基き、誠実にその職務を行い、社会秩序の維持及び法律制度の改善に努力しなければならない。(弁護士の職責の根本基準)第二条 弁護士は、常に、深い教養の保持と高い品性の陶やに努め、法令及び法律事務に精通しなければならない。
弁護士は、人権を守り、社会正義の実現を目的としているようです。
さらに行政書士はどうでしょうか。
(目的)第一条 この法律は、行政書士の制度を定め、その業務の適正を図ることにより、行政に関する手続の円滑な実施に寄与し、あわせて、国民の利便に資することを目的とする。
行政手続が円滑に進められ、みなさんが、その利用をしやすいようにというのが目的のようです。
それではここで、もう一度、司法書士について考えてみましょう。
手続の選択(手数を惜しまず、最良の選択肢を提供する)
司法書士は、主として登記、訴訟制度をきちんと利用できるようにしなければなりません。
みなさんは、その手段の選択をご自分でできるでしょうか?
勿論、専門知識がなければそんなことは難しいでしょう。
このことから、私達が何を求められているかがわかります。
つまり、みなさんが、法的諸問題にぶつかったとき、このような制度、方法がとれることを提示し、そのことによってみなさんが適切な方法を取れなければならないのです。
ですので、司法書士にとって安易な一部のみの提供があっては許されないのです。
それでは、せっかく用意された諸制度もきちんと機能しませんし、みなさんはきちんと法にアクセスできたとは言えません。
例えば、債務整理であれば、個人再生手続は複雑です。一部弁護士・司法書士事務所では、そんな個人再生手続を十分に説明せず、破産をさせてしまうようなところがかなりあるようです。
また、ヤミ金は処理などできないなどと誤った情報を提供するようなとこも少なくありません。
このようなことがあってはならないのです。
国民の権利の保護
私達は、みなさんの権利の保護を第一に考えなければなりません。これは一体何を意味するでしょうか?
私達の存在目的は、みなさんの権利の保護であり、これは私的に留まらず、社会的な目的です。それが実現しないなら、近代法治国家とは言えません。
司法書士が資格である所以がここにあります。
もし、みなさんの権利保護を資本主義原理に委ねたなら、どうなるでしょうか。
例えば、なんの知識もない人が、あなたの法的な問題についてやってあげるなどと巧みに言い寄ったならどうなるでしょうか。
場合によっては取り返しのつかないことにもなりかねません。
資本主義経済では、そのようなものは淘汰されれば済むのですが、こと大事なみなさんの権利をそんな競争に任せるわけにはいかないのです。
私たちは、そもそも資本主義原理とは異なった立場にあることを想定されていると思います。
私達は経営目的でなく、権利保護に寄与する存在でなくてはなりません。
場合によっては、手数の割りに、お金にならないようなものもあります。
しかし、間違っても資本主義的に経営をしてはならない。私達はいわゆる経営者ではないのです。
経営に反するような事案であっても、それが必要ならばしなければなりません。先の例と同じように、手数のかかる手続きを取らずに、安易な方法ばかりを選ばせるようなことがあってはならないのです。
資本主義経営的には間違っていても、みなさんの権利の保護に適切な仕事をしなければなりません。
ときに、司法書士ではありませんが、弁護士増員が叫ばれ、レベルの低いものは自然淘汰されればよいなどと言われます。しかし、それが正しいならば、資格である必要はなく届出制で十分です。
資本主義原理に委ねてはならない、資格制度のなんたるかの根本部分を誤った暴論であると私は思います。
代理権の誕生
私達は平成15年より簡裁代理権を得ることとなりました。
このことで私たちが何を求められているかについて考えたいと思います。
法的紛争についての代理は、従前は、弁護士のみが許されていました。その弁護士は人権の保護と社会正義の実現をその使命としています。
このことは、司法書士についてもその代理権の及ぶ範囲においては同様であろうかと思います。
代理権を以って、戦うことが許された以上、それはその範囲では弁護士と同じように、人権を保護し、社会正義の実現を図るべく存在にならなくてはならないと思います。
司法書士の責務はより重いものとなっています。
明治時代、かつて、司法書士が司法代書人、弁護士が代言人と言われた時代、その地位は今のように離れてはいませんでした。
その後、司法書士は社会的活動を怠り、一方で弁護士は社会活動に勤しみました。その結果、弁護士は確固たる信頼を築いたと思います。
今再び、司法書士は社会活動を考えるときを迎えています。
これを怠れば、責務を放棄し、自らの存在を否定するとも言えるかもしれません。
社会的な存在であり続けることが、司法書士に課された責務だと思います。
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