時効期間を自動延長させるような特約は有効か
時効判例解説7 大阪地裁平成10年9月24日
事例
1 AはBに金銭を貸付。3年後に支払いをする約束で、弁済期は自動延長するとした。
2 AはBを連帯債務者として、Cに対して1カ月後に返済する約束で、弁済期は自動延長するとした。
3 AはBに対して残貸金と利息、損害金を請求する裁判を起こした。
4 BはAに対して、時効を主張した。
裁判所の判断
B勝訴(時効を認め、自動延長を認めなかった。)
本件の自動延長の特約は、取り立ての実体として支払いを待つというより、残元金とともに膨れ上がらせた高利を取得させるもので、意図的に時効時期を遅らせる効果のみを目的としており、実質的にみると、事前にBの時効の利益を放棄させ、あるいは消滅時効の期間を伸長するものであって民法146条の規定に反して、無効である。
第146条
時効の利益は、あらかじめ放棄することができない。
このような時効制度を排斥するような特約は認められていません。
時効期間は、法律に則って期間設定されており、特約によって、勝手に延長させたり、立場の弱い借りる側の人に事前に時効の利益を放棄させようとするものは無効だということになります。